天地無境の迎撃者《インターセプター》外伝 ~プロメテウス~ 序章


投稿者:JVM森島


※出島 創生先生による天地無境の迎撃者《インターセプター》の二次創作となります。左記作品を「カクヨム」、「小説家になろう」でご一読されてからの閲覧をおすすめします。

2038年



第三幕張メッセ、コミケット1045



昼日中、参加者150万名超、全員が消失した。



旧東京原爆記念公園...かつて東京ビックサイトと呼ばれていたそこに、初老の男が佇んでいた。
虚ろな目で記念碑を見つめる彼は、何を思っていたのか。

2043年、新東京:ある男の回想

オタクイズビューティフル、そんな言葉が陳腐化したのも昔に思える。
きっかけは何だったか...コミケットが週1度開催になった2024年か?
それとも「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」が初等教育の必修科目となった2030年か?
いや、間違いなく2036年だ。
元素番号174番「モエタン」の発見が全てを変えてしまったのだ。

モエタン...クォーツの5万倍の発振数を誇る新元素が、ムーアの法則を覆してしまった。
フィルタ回路、ベクトル演算...水晶発振子を利用する全ての技術がモエタンに置き換わった。
中でも革新的と言えたのは、核融合炉の実現だろう。
長年開発が滞り続けていた核融合炉が実現可能となった今、石油枯渇に伴うエネルギー問題は解決されうるものとなった。
人類史上初めて建設された核融合施設は、プロメテウスと名付けられ、南極・インド洋・北極海・大西洋へと増設されていった。

全ての常識を覆したモエタン...
一つ欠点を挙げるとするならば、発振させるための条件に尽きるだろう。
ティーンエイジャーかそれ未満の少女で満たされたエニメーションを視聴した際に得られる、
交感神経優位時のパルス波のモジュレーションによるアセンブル...それが唯一の発振条件だった。
神は万物を与えるのではないのか。
人類はモエタンの発振方法を知るべきではなかったのか...私は昔犯した罪を清算すべくシグナルインターセプターの発出台に立った。

2038年8月、第三幕張メッセ:横山 健

マジか、今年は青梅展示場じゃないのかよ!
俺はレッドゾーンに到達しつつあるザンザスのタコメーターを横目に第三幕張メッセへ向かっていた。
確かに東京ビッグサイトは瓦礫の山となったが、、
所詮は北朝鮮の落としたミサイルだ。青梅までは放射能は届いていない、とタカをくくっていたのが間違いだった。
にしても来場者100万人を超えるコミケットなんて第三幕張メッセじゃ役不足じゃないか?
全く、モエタンが悪い。
モエタンの発振に萌え?が必要だなんだという話になった途端にオタクどもがしゃしゃり出やがって。
しかし、モエタンを発振できるかどうかがオタクであるか否かの指標となってしまったのも皮肉な話だ。
俺の周りで萌えだとか何か言っていたやつらは皆非オタクのレッテルを貼られ、失意の果てに西成区に疎開していった。
それでもコミケットの来場者数はうなぎのぼりなのだから、いかにマスメディアの影響が大きいか痛感せざるを得ない。

渋滞に巻き込まれている自動車を他所に湾岸をすり抜けにすり抜けて行った先に、第三幕張メッセが見え始めてきた。
今、12時前か。これじゃロクなもんは買えはしないが...企業ブースを回るか?
そうは言いつつも沸々とたぎるピンク色の感情を空吹かしで誤魔化そうとした刹那、第三幕張メッセが緑色の光に包まれた。
一体何が起きたんだ?そう思いつつ第三幕張メッセに到着した俺は愕然とした。

北朝鮮の空間転移装置...まだ実験段階だったのではないか?
100万人超の人間全てをジャンプさせる転移ビームの完成も、モエタンにかかれば造作もないことだったのか?
ザンザスを停めた俺の隣に、気づけば一人の少女が立っていた。
少女は俺を見ると、笑っているのか呆れているのかわからない表情でこう言った。

「ワォ、コレじゃマサにキョウテンドウチのダイジケン、ネ!」

1話へ続く...

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