DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー1 & 2(プレイステーション2)
○シナリオ ☆☆☆☆
説明不足な1と全ての謎を解き明かす2の二部構成。
1は荒廃した世界のギャングチーム「エンブリオン」が他チームを全て撃破し覇者となれば辿り着ける楽園「ニルヴァーナ」を目指す…というのが大筋。
序盤からなぜ楽園を目指すのか、突如現れた謎の少女について、感情の無い登場人物が悪魔の力を手に入れた後、徐々に感情を取り戻す理由…など、重要な伏線が張られ続けるが一切回収されることはなく、悶々としながらストーリーを追い続ける事となる。
ラストで謎が明かされると思いきや、それらは説明されず、世界崩壊レベルのどんでん返しを迎えた直後でエンディングとなる。
恐ろしく中途半端なぶった切りに、当時碌な告知もなく生殺しにされたプレイヤーのフラストレーションは計り知れない。怒りのままクソゲー認定されるのも頷ける。ゼノサーガみたいにep1とか付けようよ。
…と、世間一部の評価に同調してみたが、前述の通りこのタイトルは二部作である。ネタバレを避けるため2の世界観については割愛するが、積み上がった謎の解明、怒涛の伏線回収が素晴らしく爽快。2までプレイした結果、シナリオは文句無しで高評価となった。
2終盤のストーリーは真・女神転生1のラストで描かれた「宇宙との合一」を彷彿とさせる壮大なものであり、箱庭みたいな広がりのない世界でドンパチやってた1との対比も加わり感動した。
☆マイナス1は、1中盤で敵チームの罠に引っかかりまくるエンブリオンの面々がアホすぎてキレたのと、2終盤に突然ドラゴンボール化するトンデモ展開に失笑してしまったため。(ドラゴンボール化については物語のベースとなるインド神話より引用した展開であるため、前提知識があればショック軽減可能)
○キャラ ☆☆☆☆☆
デザイナーはお馴染み金子一馬。人物は装飾が少ないシンプルなデザインが多く、ハードな世界観と相性が良い。ギャングらしくタトゥー(アートマ)も入っている。
悪魔も主人公サイドは人型でペルソナっぽいが、人物同様シンプルなデザインであるものの、腕が伸びたり腕から刀が飛び出したり飛行形態になったり動きのあるギミックが仕込まれており面白い。デザインは100点。
主人公陣は最初感情を失っており取っ付きにくいが、取り戻した後は直情型、お調子者、クール系等基本を抑えており、それぞれキャラが破綻すること無く好印象。一部のキャラはその性格となった理由も伏線回収の中で描かれており魅せ方も丁寧。
筆者のイチオシはシエロ。お調子者キャラだが寒いギャグを連発することもなく、クールに決めるシーンもありギャップに惚れる。今タイトルの演出担当である有名アニメーター板野一郎のお家芸、板野サーカスも彼が披露する。属性相性がピーキーなためパーティには加えられなかったが…
○システム ☆☆☆☆
現在まで続くアトラスRPGの看板システム、プレスターンバトルが採用されており、弱点やクリティカルを狙う戦略性と爽快感のある戦闘を楽しめる。キャラクターの使用スキルはマントラと呼ばれるスキルツリーで自由に育成できるが、キャラ毎の固有スキルが無い点のみ少々味気なく感じた。
ダンジョンのセーブ地点、回復地点もやや多めに設置されておりクリアは容易。
○音楽 ☆☆☆
全体的に落ち着いた曲調。同時期に発売された真・女神転生3程のパンチの効いたBGMは少ないものの、2のOPが超絶カッコいいのでサントラが欲しくなった。サントラは現在プレミア価格のため入手困難。
○総評 95点
1,2通してプレイすれば、間違いなく名作である。シナリオ評価に挙げた序盤の謎だらけのフラストレーションからのストーリーの解明、大展開は筆舌に尽くしがたい快感であった。
また、真・女神転生シリーズよりもストーリーが爽快で理解しやすいので、ペルソナシリーズに次いで万人受けしそうな印象であった。それ故当時の不評が残念でならない。
ATLUS作品のファンであればPS2をひっぱり出す価値は十分にあるので、是非プレイしてほしい。
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